相続登記に必要な被相続人の戸籍謄本が全て揃わない場合

前々回から引き続き、相続登記に必要な戸籍謄本についての話です。

 

前回および前々回に、相続登記をするためには被相続人の出生時から死亡時までの全ての期間の戸籍謄本が必要になると説明しましたが、古い戸籍謄本が廃棄または消失していて揃わない場合があります。

 

市町村役所での戸籍謄本の保管期間は現在は150年ですが、平成22年6月1日以前は保管期間は80年でした。したがって80年以上前に閉鎖された戸籍謄本は市町村によっては廃棄されていることがあります。(*一律廃棄されているわけではなく、廃棄状況は市町村によってバラバラですのでもっと古い戸籍謄本でも残っていることも多くあります。)

 

また、保管期間切れによる廃棄の他に戦災によって消失している場合もあります。

 

このような戸籍謄本が全て揃わないで相続登記をしようとする場合には、「他に相続人はいない旨」の相続人全員の上申書(相続人全員の印鑑証明書付き)と市町村役所の廃棄もしくは戦災により焼失した旨の証明書を添付することになります。

 

なお、被相続人の戸籍謄本は必ずしも出生からの分が必要なのではなく、おおむね10歳程度の時のものからがあれば上記の上申書がなくても相続登記ができます。戸籍謄本を全て添付する理由は他に相続人がいないかの確認なので、10歳未満だと子供はできないだろうというのがその理由です。

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被相続人の出生から死亡までの全ての期間の戸籍の集め方

前回の戸籍の種類の説明に続き今回は被相続人の出生から死亡までの全ての期間の戸籍の集め方について書きます。

 

例として母親が亡くなったため母親の戸籍を収集する場合について見ていきましょう。

 

1.まず初めに母親の本籍地の市町村役場で、「相続手続きに必要なので、出生から死亡までの全ての期間の戸籍がほしい」と伝えて戸籍謄本の請求をします。ここで全ての戸籍謄本が出てくればいいですが、ひとつの役場で戸籍謄本全てが揃うことは少ないです。

 

2.1で全ての戸籍謄本が揃わなかった場合、取れた戸籍謄本の中で一番古い戸籍謄本を確認します。そこに従前の本籍地の記載があります。母親が婚姻によって入籍してきた場合なら従前の本籍地の記載は母親の記載のある欄にあり、それ以外の場合(転籍、分家、家督相続等)は筆頭者または戸主の欄に従前の本籍地の記載があります。

 

3.2で確認した従前の本籍地へ戸籍を請求します。この時1で取った戸籍の一番古いもののコピーを添付して、「母親が添付の戸籍に移るまでの出生からの全ての期間の戸籍謄本」と伝えれば役所の担当者も分かりやすいと思います。

 

4.3で請求した戸籍謄本を確認して出生から全て揃っていればこれでOKですし、本籍地が他の場所にもあったなら同じ要領でその本籍地の市町村役場へ請求すればよいです。戸籍謄本が全て揃えば念のため自分達が知らない相続人がいないか戸籍謄本を全て確認します。今回は母親の相続なので、自分の知らない兄弟姉妹がいないかの確認です。万が一戸籍上に知らない兄弟姉妹がいた場合にはその人にも相続手続きに協力してもらう必要があります。

 

また、相続人となるべき人が既に亡くなっていた場合、例えば母親が亡くなり本来は息子2人が相続人となるはずだが、長男が既に亡くなっている場合、長男の出生から死亡までの全ての期間の戸籍謄本も収集しなければなりません。長男の戸籍謄本も全て必要な理由は長男の相続人を確認するためです。これは長男に相続人がいる場合でもいない場合でも同じです。

 

なお、戸籍謄本の請求は直接役所に行ってすることもできますし、郵送で請求することもできます。近くの場合は戸籍担当者にわからない点を質問できるので直接役所に行った方がよいと思いますが、遠方の場合は郵送請求になると思います。郵送で請求する場合は手数料を定額小為替というもので支払わなければなりません。定額小為替はゆうちょ銀行で簡単に購入できるのですが、券面1枚につき100円の手数料がかかってしまいます。その他郵送請求に方法は各市町村役場に確認して下さい。

 

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相続登記に必要な戸籍謄本

相続登記を司法書士に依頼されることなく、ご自身でされる場合に意外と大変なのが被相続人の戸籍謄本集めです。

 

相続登記をするためには被相続人の出生から死亡の時までの全ての期間の戸籍謄本が必要です。

全ての期間の戸籍謄本とは何?戸籍謄本はひとつではないのか?

と、思われる方も多くおられると思います。

 

戸籍は改製により何度か作りかえられていますし、結婚や養子縁組といった身分変動によっても戸籍は新しくなる(戸籍の編成や移動がされる)ため、被相続人の全ての期間の戸籍謄本となると一般的には4通以上になることが多いです。

 

では、ここで戸籍の改製とは何か?について説明していきます。

 

戸籍は大まかに3種類に分けることができます。厳密に言うと、戸籍の種類(形式)はもっとあるのですが、分かりやすくするために3種類とします。

 

まず1つ目は、コンピュータ入力された戸籍です。平成6年に戸籍の電算化(コンピュータ化)が始まり現在では多くの自治体で戸籍は手書きのものからコンピュータ入力されたものに書き換えがされています。この手書き戸籍からコンピュータ化戸籍への書き換えが直近の改製です。コンピュータ化された戸籍を見ると、「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」との記載があります。ただ、平成6年に全国一斉にコンピュータ入力に変わったわけではなく、各自治体によってコンピュータ入力された時期は異なります。未だコンピュータ入力されておらず手書き戸籍のままの自治体もあります。

 

2つ目は、平成6年法務省令によりコンピュータ入力される前の手書きの戸籍です。この戸籍は夫婦を単位として夫婦とその子の記載がされています。子は結婚すれば配偶者とともに新しい戸籍を作成することになるので親の戸籍からは除籍されます。この戸籍は昭和22年の民法改正で家制度が廃止されたことに伴い昭和23年に新しい戸籍法が施行され、それによって改製されたもので実際の戸籍の改製は昭和32年以降にされています。大きな変更点は従来の家単位の戸籍から夫婦単位の戸籍となったことです。

 

3つ目は、昭和32年以降の改製前の家単位の戸籍です。この戸籍は戸主を中心とした家単位での記載であったため、ひとつの戸籍に記載されている人数が多いのが特徴です。家単位の戸籍は明治や大正で形式がいくつかありますがここではややこしくなるので説明を省きます。

 

以上が戸籍の種類の説明です。

簡単に説明すると、戸籍は①コンピュータ化されたもの②コンピュータ化前の夫婦単位の手書きのもの③手書きの家単位のもの、の3種類があります。

また、改製後の戸籍には改製前に除籍された人は記載されません。

したがって相続関係を把握し、相続人を確定させるために被相続人の出生から死亡までの全ての期間の戸籍謄本が必要となるのです。

 

次回は全ての期間の戸籍の集め方について説明します。

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カナダ人のサイン証明

勤務時代の話です。

 

提携の不動産会社さんから、「明後日決済の登記をお願いしたいのだが、売主さんがカナダ在住の方で今は契約のために日本に来ている。」という電話が入りました。

 

登記簿を見てみると登記簿上の住所は物件を購入した時の日本の住所になっており、住所変更登記も必要。したがって集めなければならない書類は現住所を証する書類とサイン証明書。

 

外国居住の方の住所証明書とサイン証明書をどこに発給してもらえばよいのかはその方の国籍によって変わってきます。例えば日本国籍の方の場合は、現地の日本領事館発給のものか現地の公証人発給のものどちらでも構いません。

 

さて、この時の売主さんの国籍はカナダでした。通常ならカナダの公証人発給の書類が必要です。しかし、本人はすでに来日しています。

 

では、どの機関に発給してもらえればよいのか?可能性があるとすれば日本の公証人か在日カナダ領事館。法務局に確認してもすぐには返答をもらえず、どんどん時間がなくなってきました。とりあえずどちらでも大丈夫なよう公証役場と在日カナダ領事館への確認も並行で進めました。ただ、在日カナダ領事館は電話しても担当者にはつながらず、留守電を残せば折り返し電話をもらえるというシステム。そうこうしている内に法務局から回答があり、 在日カナダ領事館発給の書類で大丈夫だろうとの返答でした。

 

幸い在日カナダ領事館からはすぐに連絡をもらえ、電話とメールで打ち合わせをし、ひな形を作成、翌日売主さんに同行して名古屋のカナダ領事館まで一緒に行き住所証明書とサイン証明書を取得し、無事登記が完了しました。

 

急な依頼で時間がない中、法務局や領事館の方々、売主さんの協力のもと当初の予定通り決済を実行し、登記も完了させることができました。今となっては良い経験でした。

 

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本日より業務再開です

GWが終了し本日より業務再開しております。

ただ今年のGWは何日か研修に参加していたので休みは少ししかありませんでした。

 

司法書士会では年間を通して様々な研修を開催しており、司法書士には年間12時間の研修受講が義務付けられています。

 

これからも実務や研修を通して日々研鑽に励んでいきたと思います。

 

 

在日韓国人の相続・遺言・帰化申請は京都市右京区の、はな司法書士事務所まで。

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住所変更登記の必要性

不動産の登記簿(今は登記事項証明書と言いますが)を見たことがある人はご存じかもしれないですが、登記簿には所有者の住所と名前が記載されます。

 

では引越しをして役所へ住所変更の届出をした場合、登記簿の住所も自動的に変更されるのでしょうか?

 

残念ながら登記簿の住所は自動的には変わらず、登記簿の住所を変更しようとすれば住所変更登記という登記申請を法務局へしなければなりません。

 

そこでお客さんによく聞かれるのが、「住所が変わったら登記簿の住所も変更した方がよいか?」という質問です。

 

回答は、「不動産を売却したり、担保に入れてお金を借りたりといった予定がなければ特に住所の変更登記を急ぐ必要はありません。」です。

 

相続登記を放っておく場合と違い、住所変更登記を放っておいても関係者が増えるといったようなことはないので、いざ登記をしなければならない時期が来るまで住所変更登記はせずにそのままにしておいてもさほど問題はありません。

 

ちなみに住所変更登記の登録免許税(登記に必要な税金)は不動産1個につき1,000円です。

 

在日韓国人の相続・遺言・帰化申請は京都市右京区の、はな司法書士事務所まで。

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韓国の戸籍制度廃止と家族関係登録簿について

韓国でも以前は日本と同じような戸籍制度が存在し、戸籍謄本が作られていました。

内容は日本の戸籍とほとんど同じものでした。

 

しかし、2008年1月1日に戸籍制度は廃止され、それまでの戸主を中心とした家族中心の制度から個人を中心とした制度に改められました。そしてそれまでの戸籍謄本にかわり個人別に家族関係登録簿が作成され、家族関係登録簿に沿った個人別の証明書が発行されることとなりました。それに伴い本籍地という概念もなくなり、本籍地に相当するものとして登録基準地というのが設けられました。登録基準地は変更申請していない限り従前の本籍地と同じです。

 

家族関係登録簿の証明書は5通に分かれていて、従来の戸籍のように1通で全ての身分事項が分かるようにはなっていなく、記載事項別に基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書に分かれています。

 

では、それぞれの証明書について説明していきます。

 

基本証明書・・・本人の出生と死亡に関する事項が記録されます。他にも国籍変更や改名、親権の表示がされます。

 

家族関係証明書・・・本人を基準として父母、子供、配偶者の記載がされます。親養子の場合、養父母は単に父母と記載され、普通養子の場合は、実父母と養父母の双方が記載されます。また、兄弟姉妹は記載されないため、兄弟姉妹を確認するには父母の家族関係証明書を取得する必要があります。

 

婚姻関係証明書・・・本人の婚姻、離婚に関する事項と配偶者の姓名訂正又は改名に関する事項が記載されます。

 

入養関係証明書・・・養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。家族関係証明書には養子を子女と表示して嫡出子と区別せずに記載されているが、入養関係証明書には養子として表示されます。

 

親養子入養関係証明書・・・親養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。家族関係証明書には養父母は単に父母と記載されますが、親養子入養関係証明書には親養子、実父母両方の記載がされます。親養子縁組とは日本の特別養子縁組に相当するものです。

 

相続登記をする際にどの証明書が必要となるかはケースによって異なりますが、基本証明書と家族関係証明書は必ず必要となります。

なお、戸籍の届出をきちんとしていた方であれば、特に何の申告をせずとも戸籍謄本から個人別の家族関係登録簿への切り替えはされていますので、今まで同様、日本国内の韓国領事館で証明書の取得をすることが可能です。

 

 

在日韓国人の相続・遺言・帰化申請は京都市右京区の、はな司法書士事務所まで。

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子供の医療費

息子(4か月)が2日程前から目やにが出ているため今日病院に連れていきました。

症状は別になんてことなく乳児によくあることらしく薬をもらってくるだけで済みました。

 

診察代も薬代も0円でした。

市町村によって違いはあるようですが、京都市の場合、病院は月に200円のみでいいようです。月に何回行っても200円です。2月と3月にまたがって4泊5日の入院もしたのですが、その時は400円でした。

 

私自身、病院には眼科の検診(コンタクトレンズをしているため)くらいしかいかないため、健康保険料高いなあって思っていたのですが、こういうところに役立てられているんですね。

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日本在住外国人の住所変更登記について

司法書士で不動産登記の仕事しているとよくするのが登記名義人住所変更登記です。

登記されている住所と現在の住所が違う場合に、登記簿の住所を現在の住所に変更する登記のことです。

不動産を売却する場合や、担保に入れてお金を借りる場合などはその前提として必ずしなければいけません。

 

この登記名義人住所変更登記をするには、住民票や戸籍の附票を添付して登記簿上の住所から現在の住所までの繋がりを証明します。登記名義人が日本人の場合ならこれらの書類を集めるだけですので、特に問題はありません。

 

では、登記名義人が日本在住の外国人の場合はどうでしょうか。

 

平成24年7月9日に外国人登録法が廃止され、日本に長期在留する外国人にも住民票が発行されることとなりました。そして作成された住民票には平成24年7月9日当時の住所が記載されました。

しかし、住所変更登記をするにあたって一番大事な箇所である前住所の記載がされなかったのです。

 

したがって、平成24年7月9日以前に登記簿上の住所から住所変更をしている外国人の住所変更登記をするには、住民票だけではできないのです。

この場合には法務省宛に外国人登録原票を請求する必要があります。この外国人登録原票は即日発行はされず、請求してから2週間程度時間を要します。なお、代理人請求はできず本人または法定代理人からの請求のみ可能です。

 

特に不動産売買の場合、この外国人登録原票の取得に時間がかかり決済日が延びてしまうこともあるため注意が必要です。

 

 

 

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被相続人は在日韓国人?在日朝鮮人?

前回の続きで、被相続人が在日韓国人になるのか、在日朝鮮人になるのか、つまり本国法を韓国法として相続を考えるのか、北朝鮮法として考えるのかについての話を今回はしていきます。

 

判例では、当事者が“韓国人ではない”と主張する場合を除き、在日韓国・朝鮮人は本国法を韓国法とする韓国人であるという扱いがされています。

 

住民票の国籍・地域欄に“韓国”と記載されており、本人も韓国のパスポートを持っている場合は本国法を韓国とする韓国人ということで間違いないでしょう。

 

では、国籍・地域欄に“朝鮮”と記載されている場合はどうでしょうか。

この場合でも基本的には本国法を韓国法とする韓国人と考えます。しかし、本人が北朝鮮との帰属意識を持ち、“自分は北朝鮮人だ”といった主張をしていれば、本国法を北朝鮮法とする北朝鮮人として相続手続きをすることとなります。

 

住民票の国籍・地域欄の“朝鮮”とは何だ、という話をすると長くなるのでここではしませんが、“朝鮮”という記載がされているからといって、本国法を北朝鮮法として考えるんだといったことにはならないので注意して下さい。

 

在日韓国人の相続・遺言・帰化申請は京都市右京区の、はな司法書士事務所まで。

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