相続人の範囲と相続分 目次
韓国人相続の相続人の範囲と法定相続分
遺言書がない場合、もしくは遺言書があってもそれが法律的要件を満たさず無効の場合、韓国の民法の規定に従い相続人が決定します。この民法の規定に従い相続人になる人のことを『法定相続人』といいます。また、法定相続人には被相続人(=亡くなった人)との関係により相続分が定められています。この定められた相続分のことを法定相続分といいます。
法定相続人ではない人に相続させたい、相続分を指定したいといった考えをお持ちの方は生前に遺言書を作成しておく必要があります。なお、法定相続分については相続手続きの際に法定相続人全員の話し合い(=遺産分割協議)により法定相続分とは異なる割合で相続することができます。
配偶者は常に相続人となり、第2順位までの法定相続人が存在しない場合は配偶者が単独で相続人となります。この点が配偶者と被相続人の兄弟姉妹が共同で法定相続人となることがある日本の民法との大きな違いです。
また、同順位間での法定相続分は均等で、配偶者の法定相続分は相続のパターンにより異なります。
他にも相続人となるべき人が相続手続きをしない間に亡くなって場合や、既に亡くなっていた場合は数次相続や代襲相続を考えなければなりません。
第1順位の相続人・・・直系卑属
直系卑属とは子や孫のことです。被相続人に子供がいる場合は子供が相続人となります。孫が相続人となるのは被相続人の子供が既に死亡している場合や、子供全員が相続放棄をした場合です。
直系卑属と配偶者が相続人となる場合の配偶者の相続分は直系卑属の5割増しと定められており、相続人が配偶者と子供2人の場合の法定相続分の割合は、配偶者:子供A:子供B=1.5:1:1となります。
第2順位の相続人・・・直系尊属
直系尊属とは親や祖父母のことです。被相続人に子供がなく親が生存している場合には親が相続人となります。
直系尊属と配偶者が相続人となる場合の配偶者の相続分は直系尊属の5割増しと定められており、相続人が配偶者と被相続人の母の場合の法定相続分の割合は、配偶者:母=1.5:1となります。
第3順位の相続人・・・兄弟姉妹
被相続人に配偶者も子供もなく、両親および祖父母も全て亡くなっている場合は被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。 被相続人に配偶者がいる場合は前述のとおり、兄弟姉妹は相続人とならず配偶者が単独で相続人になります。
第4順位の相続人・・・4親等以内の傍系血族(日本法では第4順位はありません)
日本の民法では相続人は第3順位までですが、韓国民法では第3順位の相続人が存在しない場合は第4順位として4親等以内の傍系血族が相続人となります。 4親等以内の傍系血族とは具体的には、おじ・おば・甥・姪(以上、3親等)、従兄弟(4親等)などです。4親等以内の傍系血族が複数いる場合は、親等が近い方が相続人となり、同親等間での相続分は均等です。 ただし、第3順位までの相続人が過去には存在していたが、被相続人より先に亡くなっているといった場合には代襲相続が発生している可能性があり、その場合は第4順位の相続人ではなく、代襲相続人を検討する必要があります。